ジャカルタに移住して1か月ほど経った頃の話である。
幼稚園や小学校の新学期が始まらず、外にも出たがらない子どもたちと、1日中ホテルの部屋で過ごす生活が続き、正直かなり疲弊していた。運動不足も気になっていた。
ホテルにはプールもあったが、泳ぐというより「溺れないように子どもを支える係」なので、自分の運動にはほぼならない。
そんなとき、ホテルのフィットネスセンターで 「毎週日曜夕方・テニスレッスン」 というポスターを見つけた。
日曜日は家族とゆっくりしたい気持ちもあったが、妻が快くOKしてくれたため、久々にラケットを握れるということで心が躍った。
受付で話を聞くと、
「いくつか枠があって、日曜のクラスは無料だよ」
と言われた。無料だと? ありがたや。
6年ぶりのテニスだが、リハビリがてら汗を流せるのは嬉しい。
さらに、
「朝6時からもクラスがある」
と言われ、朝なら子どもたちが寝ている間にサッと行って戻れるし、休日の家族時間も確保できる。最高じゃないか。
というわけで 日曜朝6時のレッスン を申し込んだ。

■ 誰もいないコートと、嫌な予感
当日。
私は早起きして準備万端。
6時前にはテニスコートに到着した。だが——誰もいない。
「早すぎただけかな?」と思って待つが、6時になっても来ない。
嫌な予感がじわじわしてくる。
最初は「久しぶりだけど打てるかな」「ケガしないかな」という意味の嫌な予感だと思っていた。しかし違った。もっと根本的な、
“そもそも今日のレッスン、存在してないんじゃないか?”
という予感である。
6時10分。やはり誰も来ない。
仕方なくフロントに行き、状況を説明した。
するとスタッフは誰かに電話し、
「もうすぐ来るよ!」と言ってくれた。
ああ良かった。少し遅れてるだけか…海外あるあるだなと思い再度コートに戻った。
が、やはり来ない。
■ 衝撃のセリフ「コーチは自分で連れてくるんだよ」
もう一度フロントへ。
スタッフはフロント奥に消えていき戻ってきたかと思うと、少し困った顔でこう言った。
「コーチは…自分で連れてくるんだよ」
いやいやいやいや、ちょっと待ってくれ。
さっきまで「レッスンあるよ」と説明され、しかも誰かに電話して「もうすぐ来る」と言ったのは何だったのか。
まさかの “レッスン制度ではなく、ただコートを予約しただけ扱い” だったらしい。
理解が追いつかない。
私の6時の早起きは何だったのか。
もちろん文句を言う気はない。
海外生活はこういう理不尽は普通にある。怒っても仕方ない。
ただ、不完全燃焼すぎる。いや燃え始めさせてももらえなかったのか。
仕方なく部屋に戻った。子供達は起きており早い帰宅を喜んでおった。
■ まさかの「夕方に空きがありますけど?」の電話
落ち込んでいるところへ、突然ホテルから電話がきた。
「朝の件はごめんね。今日の夕方のレッスン、まだ空きがあるけど来る?」
もちろん来る。
朝の空振りがあったからこそ、なおさらやりたい。
よく考えると、ポスターのレッスンは元々「夕方だけ」だった。
最初からその時間を案内してくれれば良かっただけの話である。
■ 結局、海外ではこういうことが普通に起きる
私は普段ほとんど怒らない性格なので、
「まあ、こういうこともあるよな」で落ち着いていた。諦めていた。
海外では“話が通じていると思ったら通じていなかった”なんて日常だ。
なので、むしろ、この時は「ありがとう。良いホテルだ」
という喜びが勝った。
次回は 実際に夕方のレッスンに参加した話、そしてインドネシアでの久しぶりのテニスがどうだったか を書こうと思う。