ジャカルタ駐在員のママ友たちに「おすすめの旅行先は?」と聞くと、誰もが真っ先に口を揃える場所がある。 「ロンボク島とギリ島」だ。
というわけで、行ってきた。
「こいつ、また旅行の話かよ」 「優雅な駐在生活の自慢なんて見たくない」
そう思った方は、いつも通りここでそっと画面を閉じてほしい。
このブログは、平凡な主夫の日常を綴る生存記録である。
絶望の幕開けは「ただのガス」
今回は「バティックエア」でロンボク島へ向かった。
ジャカルタの空港に着いた瞬間、私の心は早くも折れかけた。
4歳の娘がいきなり、「うんち漏らした」と申告してきたのだ。
着替えはもちろんあるが、そういう問題ではない。出鼻くじかれ過ぎだ。
4歳になって、そんな失敗はしたことがなかったのに。
いきなりのハードモードな展開に、私は完全に絶望した。
青ざめながらトイレへ駆け込んだ。
……何も出ていなかった。 ただの「おなら」を盛大に勘違いしただけだった。
人騒がせな娘である。
とりあえず、エアアジアのように遅延することもなく、飛行機は無事にロンボク島へと到着した。
遠すぎる道のりと「ザ・オベロイ・ロンボク」
今回泊まったホテルは「ザ・オベロイ・ロンボク」。
ここの最大のメリットは2つ。
・ギリ島まで船で10〜20分と激近
・「ワイルドライフパーク(野生動物公園)」までも車で10分
ただ、その好立地と引き換えに、空港からの道のりは過酷だ。
車で約1時間40分。そのうち半分はひたすら山道である。
子供はもちろん、大人でも酔い止めは必須だった。
幸い、朝早かったこともあり、子供たちは酔う前に爆睡してくれた。
しかし、ホテル到着時の「ウェルカムお花ネックレス」を掛けられる瞬間は、寝起きで不機嫌だった。
そんな不機嫌でお花ネックレス掛けられる奴らは初めてだったが、それが子供というものだろう。
幸い、それを救ったのが、「スイカのバーがぶっ刺さったスイカジュース」という謎のウェルカムドリンクである。
これを飲んでおやつを食べ、彼らはようやく旅行の実感を取り戻した。
また絶望的に大雨だったが、それも到着1時間後にはすっかり止んだ。
「海に入らないで」という完全なるフリ
ホテルは最高だった。
毎日16時からは無料のアフタヌーンティーがあり、おやつとコーヒー、お茶が飲み放題。
客層はほぼ欧米人で、「ここは本当にインドネシアか?」と思うような優雅な空間だ。
初日の夕方。
アフタヌーンティーを終えた私たちは、服とスニーカーのまま、目の前の砂浜へ散歩に出た。
「服と靴だから、絶対に海には入らないでね。絶対にだよ。」
私は、確かにそう言った。
しかし、恐れを知らない4歳の娘にとって、それは「押すなよ、絶対に押すなよ」というダチョウ倶楽部のフリにしか聞こえなかったらしい。
度重なる念押しの警告が裏目に出て、ついに彼女は海へ入水していった。 スニーカーのままで。可愛いワンピースを着たままで。
それを見たビビりの兄(8歳)も、「妹が良いのなら、僕も良いんだよね」とばかりに服とスニーカーのまま海へ突撃。
旅行の初日から、靴も服もぐちゃぐちゃになった。
夜はこの日たまたま開催されるという砂浜BBQに参加。肉も美味しかったが海老が美味し過ぎてひたすら焼き続けてもらった。毎日やってほしかった。


船恐怖症の息子が覚醒した「ギリ島」
2日目。
ここで少し紹介。今回、ホテルは公式サイトから予約した。そして、プランは空港送迎と大人2名分の朝食付きだ。ホテルは空港から少し離れた場所にあるため、送迎は必須。そして朝食付きも良かった。
朝食は大人2名分で「4人が満腹になった」。種類豊富なパンが大きなトレイに乗ってサーブされ好きなだけ食べれたし、飲み物も全員分のジュースとコーヒー2つの6つも頼んだが、追加料金を取られることはなかった。謎の優しいシステムだった。
そして私たちはホテルの桟橋からギリ島へ向かった。
道中、2箇所でシュノーケリングをした。
驚いたのは、息子の成長だ。
少し前まで「船が沈んだらどうするんだ」と本気で怯えていたセンシティブな男が、今回は自ら船の先頭に陣取り、風を受けていた。
さらに、初めてのシュノーケリング。
最初は海水を盛大に飲んでいたが、最終的にはしっかり呼吸し、ウミガメや魚をその目で見ていた。 またもや息子の成長に感動した。
一方の娘は、水に顔をつけることができず、ただ海にプカプカと浮くことしかできなかった。まあ、仕方ない。それでも水面までウミガメが出てきてくれて、見ることができ、満足そうだった。
ロンボク島とギリ島は、息を呑むほど海が綺麗だった。 しかも波がない。子供を遊ばせる上でこれがとても安心できた。
ただその結果、子供たちはひたすら「貝殻探し」に没頭した。 私はただ、それに付き合って砂浜を見つめ続けた。
カナダ人パパとの出会いと、弾丸動物園
ギリ島から戻った午後は全員の体力が限界を迎え、動物園(ロンボックワイルドライフパーク)に行くのを諦めた。
しかし、ホテルで話しかけてきたカナダ人のお父さんとの会話が、状況を変えた。 なんと彼らもジャカルタ在住で、しかも私たちが次に引っ越す予定のアパートに住んでいるという。 異国の地での、奇跡のローカルトークである。
彼曰く、「動物園は2時間あれば十分行って帰ってこれるぞ」とのこと。
翌日。つまり最終日の3日目。 帰りのバティックエアが1時間半遅延するという連絡が入った。 「これは、朝イチで行けるのでは?」
ホテル手配のドライバーに2000円追加して交渉し、私たちは弾丸でワイルドライフパークへ向かった。
触れ合いレベルが狂っている動物園
このワイルドライフパーク(Lombok Wildlife Park)、規模は小さいが「動物との距離感」が完全にバグっている。
入り口で野菜とフルーツの盛り合わせカゴを買い、園内のほとんどの動物に餌をあげられるシステムだ。 動物たちも「飯が来たぞ!」とばかりに、アグレッシブに寄ってくる。 シンガポールのナイトサファリで、ひたすら寝ている動物を見せられた過去を持つ私からすれば、これは最高のエンターテインメントだ。
一番の目的はオランウータンとの触れ合い。
私の靴下を本気で脱がそうとしてくるオランウータンと攻防を繰り広げ、子供たちは爆笑していた。
前の順番のおじさんなんて、勢いよく抱きつかれて地面を引きずり回されていた。
ちょっとした命の危険すら感じるレベルの触れ合いだ。ただ子供を連れている私たちには比較的優しくしてくれた。
私の大好きな「ビントロング(猫みたいなクマ)」にも餌をやり、ゾウにも普通に触れて写真が撮れた。
チンパンジー触れ合いは追加料金だが、そのチケットについてきた「ハイティー」も、ミニハンバーガーや揚げバナナがどっさり乗った「お昼ご飯」レベルのボリュームで、大満足だった。
2時間しか滞在できない弾丸だったが、カナダ人パパが言った通り全部回れた、そしてお茶する余裕まであった。



結論:結局、貝殻集めが最強
帰り道、山道で大量の野生の猿に興奮した。これだけで動物園のようだ。
そして、案の定息子は少し車酔いをした。
動物園で午前中にお茶したとはいえ、フライト前にはお腹が空き、空港ゲート前と機内で2連続でカップラーメンを食べるという腹ペコ一家になり、ジャカルタへ帰還した。
今回のロンボク・ギリ島旅行。
海は今まで行った中で一番綺麗で、波もなく、本当にのんびりできた。
ホテルには「油絵教室」や「カヌー」、「アクセサリー作り」など、無料のアクティビティが山ほどあった。 とても魅力的だし、これらを楽しむためにももっと連泊しないといけなかったかと思った。
しかし、8歳と4歳の子供たちが選んだのは、ひたすら「貝殻を集め、ヤドカリの家を砂で作る」というプリミティブな遊びだった。
どれだけ美しい海に行こうが、素敵なアクティビティが用意されていようが、 我が子らにとっては、砂浜に落ちている貝殻こそが一番の宝物だった。
次にこんな綺麗な海で、大人だけでゆっくりお酒を飲めるようになるのは、あと10年以上先だろう。
それまでは、大人は大人しく、子供の貝殻集めを見守る係に徹しようと思う。













